普通の紙巻きタバコや加熱式たばこ、VAPEとは違う使い方・メンテナンス方法を知ろう
「ヴェポライザーの基本的な使い方」
■ヴェポライザー、使用前の心構え
どんなデバイスでも"慣れ"が必要だ。ヴェポライザーも、通常の紙巻きタバコとは使用方法が全然違うし、同じ加熱式タバコではあるが、アイコス、グロー、プルーム・エスとはまた、違う。ここは一つ、かつてのタバコデビュー時代にライターの火で火傷をしたり、カーペットに穴を開けてしまったりした頃のことや、「タバコなのに掃除が必要!?」と驚いたアイコスとの出会いの日々を思い出して、改めて新しいスタイルの喫煙を楽しみたい。
もちろん、使い方は全然難しいものではない。充電して、シャグ（手巻きタバコ用の刻みタバコ葉）もしくは紙巻きタバコをカットしたものを詰めて、好きな温度に設定して、ゆっくりと吸うのが概要である。
■まずは安全に充電する
ほとんどの機種はMicro USB経由の充電だが、安全のためには適したACアダプターを使用する必要がある。他にも充電するデバイスを複数持っている場合など判別が面倒な場合は、写真背後に映り込んでいるような複数USBポートで機器の電圧を自動で判別できる充電用ハブがあると便利
ヴェポライザーはアイコスなどの加熱式タバコやVAPEと同じように、リチウムイオン電池を使用して、機器内部で加熱する仕組みを持っている。それらと同じように基本的に輸送の際に危険がないように、バッテリーは少なめに充電がされている。なので最初に充電することが必要だ。
通常Micro USB経由の充電でケーブルも付属していることが多いが、注意したいのは使用するACアダプターの規格。機種によって違うが、「5V1A」の電圧規格のACアダプターを使用しなくてはならないことがほとんど。そこらへんに転がっているコロッとしたACアダプターを何でも使っていいわけではない。
基本的にUSBで使用できるのは5Vなので、「1A」の部分がポイントになる。これが流れる電流の量。急速充電をアピールしていたり、アイコスやタブレットなどに付属するACアダプターでは「5V2A」規格なことが多いので、注意が必要だ。
■「ヴェポライザー」基本の使い方
一番簡単なのは、紙巻きタバコを適当な長さにちぎって使用すること。その方法でもそれなりに美味しく味わえるのがヴェポライザーの懐の深いところだが、実力の半分程度しか出せていない状態でもある。
このように刻んだタバコ葉がぎゅうぎゅうに詰まっているのがシャグ（中央のシャグは「コルツ ライチ」で40gで950円）。定番はこの「コルツ」のほか、「チェ」「チョイス」など。大きめのタバコ店のほか、ネット通販やドン・キホーテ各店舗でも購入できる
目安は機種によって違うが、人気機種の「C-VAPOR3」ならタイトめに詰めて0.3g弱（スペーサー使用時は約0.25g程度。具体的にいうと砂糖小さじ1/10程度の重さ。と言われてもピンとこないかもしれないが。単純計算で40gで130回程度使える計算になる。一回7円…！！
なのでここではきちんとデバイスの性能を発揮して美味しく味わうための、手巻きタバコ用の刻みタバコ葉（シャグ）による使い方を解説したい。
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この詰め方だが、ギチギチに押し込むと空気が通らなくなって吸えなくなってしまうし、ふんわりと少なめに入れすぎると、味自体が薄くなってしまう。この部分は難しいところだが、自分なりの良い加減を見つけるのも楽しみの一つ。小指の先でスッと詰められるとスマートだが、結構難しいのでピンセットなどを使って詰めると楽だ。
�∪瀋蟆硬戮�200℃近辺に設定する
たいていの機種で180〜230℃の温度設定が可能。最初は200℃設定で試してみて、自分の好みで上下させる（使用中でも温度変更は可能※紙巻きタバコをカットして使用する場合は紙のぶん高めに設定するのが基本）。使用するシャグにもよるが、温度が上がるほど喫味は強くなりキックも増し、下がるほどマイルドな喫味になる。この探り探りの行為自体が結構面白い。
喫味は各シャグの特徴、機種、温度設定など様々な要素で決まる。全く温度もいじれず、銘柄も与えられた範囲というアイコス、グロー、プルーム・エスなどとは自由度が格段に違う。
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最初のひと吸いは本当に熱いので要警戒
アイコス、グローは約300℃の高温で加熱するが、タバコスティック内部に冷却のための空間とフィルターがあるので、火傷するほど蒸気が熱くなることはほぼない。一方ヴェポライザーはシャグを熱した空気がタバコ葉を吸い込まないように金網が備わっている以外は、直接熱された空気が口の中に入っているので、一気に吸い込むと軽く火傷するほど熱くなる。
なので基本はゆっくりと吸い込む。内部の空気を熱いまま口の中に移動させるように、じんわりと口の中に蒸気をためていく。そして、その蒸気をスッと吸い込む。紙巻きタバコと同じ吸い方。いわゆるVAPEで言うところのMTL（マウス・トゥー・ラング）である。
最初はキックが弱いが、だんだん内部のタバコ葉に熱が回ると次第に強くなってくるのがヴェポライザーの特徴だ。最初のまだ喫味が弱い段階では、そのまま肺まで深呼吸のように吸い込むDL（ダイレクト・ラング）で吸っても、芳醇なタバコ葉の味わいを感じることができる。
パソコン仕事などをしながらでも、煙で機器がダメになる心配がないのがヴェポライザー。壁にヤニがつくこともないし、同居家族がいてもニオイが少ないので気がつかれにくい
そして喫味が強くなってきたらMTLに切り替えると言う臨機応変な吸い方もおすすめだ。もちろんマウスピースにフィルターがセットできる機種もあり、喫味の調整も可能だが、そもそも燃焼していないのでタールなどの有害物質はかなり減っている。市販されているのは基本的に手巻きタバコ用のフィルターなので、喫味は確実に落ちるのでおすすめしない。加熱式に向いているアイコスのフィルターを使うと良いのだが、今度はアイコスのスティック代がかかってしまうのでコスパ的にはぐんと上がってしまう。
また、アイコスなどの切り替え組だと、タバコ葉に含まれる水分のみで蒸気を生み出すため、蒸気量の少なさが物足りなくなるかもしれない。その場合、シャグにVAPE用のリキッドを一滴たらすことで蒸気量を増やすこともできるが、機器内部にリキッドが入り込んでしまうと故障リスクが高まるのでおすすめは、しにくい。
�づ展擦�自動オフになったらおしまい
吸い終わったらチャンバー内部のタバコ葉を付属の耳かき状のピッキングツールなどでかき出す。逆さにして軽くふってポンと葉が出てくることは「シャグポン」と呼ばれ気持ちがいいものだが、可能な機種はあまり多くない
機種によって差があるが、熱でバッテリーが劣化しないように自動的に3〜5分程度でオフになるのが基本。2回までならタバコ葉を交換せずに連続で吸える機種もあるが、基本的には一度機器をクールダウンさせてから再び起動する（シャグや機種にもよるが、同じタバコ葉で2度吸えることも多い）。
最後に、やけどなどを防ぐために、内部を少しクールダウンさせてから、チャンバー内部のタバコ葉を付属のピッキングツールなどでかき出す。
■メンテナンスは多少面倒だが、アイコスほどではない!?
無水エタノールは薬局で500ml1,200円程度で入手可能。小分けにしておいた方が使いやすい
加熱式タバコの代名詞・アイコスは内部に加熱ブレードを持っていることで、そこをしっかりクリーニングしないと途端に喫味が落ちるという特徴がある。細かく入り組んだ内部の清掃は、結構面倒だ。グローは内部にブレードがないため、清掃は楽だが喫味は落ちる。
ヴェポライザーのメンテナンスはそうしたアイコスとグローの中間程度の面倒さと思って間違いない（機種によって異なる）。
内部にブレードを持たないのは同じだが、グローに比べるとチャンバー（加熱炉）が広く開いているので、無水エタノールを含ませた綿棒などで清掃するのは楽だ。マウスピースや内部の網パーツなどは丸洗いも可能。もちろん再装着時にはよく部品を乾燥させてから行う。
無水エタノールは消毒用エタノールとは異なる。無水エタノールは水をほぼ含まないもので、消毒用エタノールは3割程度の水が混ぜられている。ヴェポライザーの他にも、水を使えないパソコンなどの精密機器の清掃、ステッカーのベタベタ除去にも使えるので、薬局やAmazonなどで入手しておきたい。
（構成/ゲッカヨ編集室 清水りょういち＝文 清水葉子＝写真）