アイコス、グローなどの加熱式たばこやVAPEとの違い

「ヴェポライザーとは?」

日に日に増えているヴェポライザー。機種によって味の出方も価格も様々だ

 

■タバコ葉を加熱するデバイスが「ヴェポライザー」。アイコス、グローと仕組みは同じ

 

現在大ブームとなっているアイコス、グローなどの加熱式タバコ。火を使わずにタバコ葉を約300℃の高温で加熱することで煙を出さずにニコチンを摂取することのできるデバイスだ。「ヴェポライザー」も仕組みは同じ。違いは専用のスティック/カートリッジで使用するかどうかの違いである。

 

「煙の出ないタバコ」として有害物質のタールを9割カット、ニオイも副流煙も少量ということで人気となった加熱式タバコだが、専用スティックを使用しなければならないのは、半ば常識となっている。

 

■どんな銘柄のタバコも加熱式タバコに変えてしまうのが「ヴェポライザー」

蒸気量はアイコスなどより少ないが、吸ってる本人は非常にタバコ感があるのがヴェポライザー

 

ところがタバコ葉というものは、200℃程度まで加熱すれば、葉に含まれた少量の水分とともにニコチンは気化する。それを吸い込めば見た目的には少量の蒸気だが、立派にスロートキック(喉への圧)を感じるタバコ感(ニコチン)を感じることができるのだ。しかもアイコスなどと同様に有害物質のタールは9割以上カットされる。

 

つまり専用スティックなど必要ない。手に入るタバコ葉は全て、ヴェポライザーで味わえるのである。

 

■「ヴェポライザー」がタバコ代を1/3以下に圧縮できる理由

このように1本のタバコを3分割して、3回吸えるのがヴェポライザー

 

「ヴェポライザー」の一番簡単な使用方法は、好みの銘柄の紙巻きタバコを3分割にカットして使用する方法だ。ヴェポライザー内部には加熱するための炉(チャンバー)が備わっており、そこにカットしたタバコを詰める。あとはオンにして炉を加熱、するとニコチンが気化していくので、それを吸い込めばいい。

 

さらに日本で約130種類流通している手巻きタバコ用の刻みタバコ(シャグ/大きめのタバコ店で手に入る)を使用すると、さらにコストカットが実現できる。

パッケージいっぱいに刻まれたタバコ葉が入っているシャグ。中央のシャグ「チェ」は25g580円)でさえ100回以上使用可能(C-VAPOR3でスペーサー使用時)という奇跡のコスパ。なかなかなくならない…

 

11箱でのランニングコスト比較】

紙巻きタバコ      1500円×30=15,000

アイコス             1500円×30=15,000円※別途デバイス代

ヴェポライザー(1/3カット使用)=5,000円※別途デバイス代

ヴェポライザー(シャグ使用)=3,000円※別途デバイス代

注●ヴェポライザーのシャグ使用量は機種により変化するので、人気機種「C-VAPOR3」のスペーサー使用時の使用量 (約0.2g)を基準に計算してある

 

 

アイコスやグローなどの加熱式タバコは専用タバコスティックが高価な上にデバイス代もかかるので、一番高額。その点ヴェポライザーは、デバイス代が約1万円程度かかったとしても1ヶ月で元が取れてしまう。

 

 

■「ヴェポライザー」、最大の魅力は好みのタバコ葉を美味しく味わえること

ヴェポライザーの内部にはこのように中にタバコ葉を入れて加熱する炉(チャンバー)が備わっている

 

元々は海外で、終末期医療などで医療用大麻を子供から老人まで安全に使えるようにという目的で開発された医療機器が「ヴェポライザー」。それをタバコ葉に応用することで、有害物質を抑えて喫煙することが可能となった。アイコスやグロー、最近発売となったプルーム・エスも同様の構造だが、専用スティックに蒸気を多く発生させるためにグリセリン類を添加しているところが違う。

 

このグリセリン類は基本的に無味無臭と言われるが、実際は独特の甘みがある。さらにそこに香料が追加されていることが多く、加熱式タバコ特有のポップコーン臭・焼き芋臭というものが生まれる。アイコスに最初に飛びついた時、元々の「マールボロ」を期待してがっかりした人は少なくない。それでも加熱式ということはそういうことだと諦めている人も多いと思う。

基本的に温度調整機能が備わっており、自分の好みの喫味を追求できるのがヴェポライザー

 

そうした人のほとんどが、ヴェポライザーでお気に入りの銘柄のタバコをカットして、ヴェポライザーで吸うと驚く。確かに紙巻きタバコ特有の焦げた味わいなどはしないのだが、タバコ葉が本来持つ味と香りを妙な甘み無しに楽しめるからだ。それはアイコス、グローなどが約300℃の高温で加熱するのと違い、大方のヴェポライザーはニコチンが気化する200℃近辺で運用されることが理由だ。

 

ただそれにも慣れてくると、巻き紙の味が邪魔をしているのがわかってくる。試しに紙巻きをほどいて中身の葉だけをヴェポライザーで吸うと、格段に美味しくなるのである。その原因は、喫煙中に火が消えないように巻き紙に燃焼促進剤などの薬品が染み込ませてあるため。これが不味さを生む。ただ紙巻きタバコをほぐして使うくらいなら、シャグ(手巻きタバコ用刻みタバコ)を使用する方が手間もない。

 

ヴェポライザーを手に入れたなら、是非とも大きめのタバコ店で手巻きタバコ用の刻みタバコ(シャグ)を手に入れてみてもらいたい。初心者なら無添加タバコの「チェ」、様々なフレーバーが楽しめる「コルツ」あたりなら間違いがない。価格帯も1580950円と手頃だ。それで2540g入りで100回〜200回近く使用できる(※機種により使用量は異なる)。

 

通常ヴェポライザーで利用される温度設定は180230℃程度。この辺りで、自分の好みの喫味を段階的に選べるようになっている。つまりお仕着せの味わいではなく、自分の好みの銘柄を選べ、加熱度合いで味わいを追求することができるのだ。しかも安価に。慣れない最初は紙巻きタバコをカットして使うのでもいいが、ヴェポライザーの真の実力を知るためには、シャグで味わうのが一番だ。

 

■もはや毎年恒例のタバコの値上げに一喜一憂する必要はない

シャグを使用することで、タバコ葉本来の味わいを楽しめるヴェポライザー。もちろん好みでメンソールやフルーツフレーバーなども美味しく味わえる

 

増税となるととりあえずタバコから、という風潮が今後ますます高まることはあっても収まることはないだろう。したがってこの先タバコ代は天井知らずに上昇していくことは確かだ。シャグも同様に値上がりはするのだが、そのダメージはほぼ1/10程度なので、それほど気にする必要はない。この精神的な自由度は、実際に切り替えてみるとかけがえのない精神的余裕につながる。

 

家族がいる場合など、ニオイの問題も無視できないが、アイコス、グローなどの加熱式タバコに比べても格段に少ない。近くに人がいても軽いスモーキーな香りが一瞬するが、すぐに分解されて消えてしまう。換気をしなくても気にならないレベルの香りしかしないのだ。それでいて吸っている本人はしっかりとしたタバコ感を、喉へのキックを味わうことができる。ヴェポライザーこそ、未来のタバコの称号が最もふさわしいデバイスなのである。

 

(構成/ゲッカヨ編集室 清水りょういち=文 清水葉子=写真)